65歳以上の「4人に1人」が働く日本! フランスは25人に1人だけど「韓国」や「アメリカ」ではどのくらい? 世界の高齢者就業率を解説

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総務省統計局の2021年労働力調査において、65~69歳の就業率は初めて50%を超えました。働く高齢者は増加傾向にありますが、実際に各世代の就業率や時代による変化はどれくらいなのでしょうか。
さらに世界に目を向けてみると、他の国では高齢者の何割が働いているのでしょうか。本記事では、高齢者の就業について、日本の現状とこれまでの変化を解説し、海外の状況も紹介します。

高齢者は何割が働いている?

何歳でリタイアするか、多くの人が一度は考えたことのあるテーマのはずです。直近の高齢者の就業率は各年代においてどれくらいなのでしょうか。
図表1は2022年の各年代就業率を示したものです。60代前半では7割以上の人が働いており、いわゆる「60歳でリタイア」は過去のものとなりつつあることがよく分かる結果です。
2022年の労働力調査では、65歳以上の高齢者就業率が各年代全てにおいて過去最高となりました。60代後半で半数以上、70代前半は3人に1人が働いています。また65歳以上全体の就業率は25.2%と、高齢者の4人に1人は働く時代になりました。

図表1
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総務省統計局 2022年労働力調査より筆者作成

高齢者就業率の変化

では、直近10年の変化を見てみましょう。65歳以上の高齢者全体で見ると、2012年の就業率は19.5%と、高齢者の5人に1人が働いていました。10年間で5.7ポイントの上昇と考えるとあまり大きな変化がないようにも見えます。
しかし世代別にみると、65~69歳では37.1%から50.8%に13.7ポイントの上昇、70~74歳では23.0%から33.5%に10.5ポイントの上昇が見られます。さらに60~64歳は57.7%から73.0%へ15.3ポイントも上昇しています。10年前と比較すると、世代の5年ごとの区切りが1つスライドしたかのような就業率を見せています。

世界の高齢者は何人に1人働いている?

日本のデータを見ていると、60代後半で働いているのは当たり前のように思えます。そこで世界に目を向けて、高齢者の4人に1人が働いている日本(高齢者就業率25.2%)と主要国の高齢者就業率(2022年)を比べてみましょう。

高齢者の3人に1人が働く韓国

韓国の高齢者就業率は36.2%と日本よりもさらに高く高齢者の3人に1人が働いています。2012年時点で30.0%の高齢者が働いており、10年前であっても現在の日本より高い就業率であることが分かります。

高齢者の5人に1人が働くアメリカ

2012年、日本とアメリカの高齢者就業率は20%弱でほぼ同等でした。そこから10年、日本が25%を超える一方で、アメリカの就業率は18.6%とほとんど変わらず、現在も20%以下を維持しています。

25人に1人しか働いていないフランス

ヨーロッパの主要国の高齢者就業率は、ドイツ8.4%、イタリア4.9%と低い傾向にあり、中でもフランスの高齢者就業率は3.9%と、高齢者の25人に1人だけが働いています。韓国・日本・アメリカとの違いに驚かされるのではないでしょうか。さらに、カナダ・イギリスの高齢者就業率は10%前後と、日本の高齢者就業率の高さを感じさせられるデータです。

何歳まで働くか? 視野を広く持ちたい

日本国内で生活をしていると、60代後半で働くのはマジョリティーであり、70歳以降で働く人を見ても珍しいとは感じません。
しかし、他の国と比較してみると、日本の働き方が世界標準でないことが見えてきます。仕事のやりがい、生活のために収入を得たい、高齢になってからも働く理由は人それぞれです。その中でも、視野を広く持ってこれからの働き方を考えることが大切ではないでしょうか。

出典

総務省統計局 統計トピックスNo.138統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-

執筆者:入船みみ
FP2級