硫黄島沖の新島、数分おきに爆発し200mの噴煙も…専門家「活動が続けば島は長く残るかも」

 小笠原諸島・硫黄島(東京都)沖に海底火山の噴火で出現した新島の噴火が、依然として続いていることが確認された。読売機が16日、硫黄島周辺の上空を飛行し、新島が数分おきに爆発する様子を撮影した。

image
硫黄島近くの海底から噴火でできた新島(16日午後0時35分、東京都小笠原村硫黄島沖で、読売機から)=加藤学撮影

 新島は硫黄島の南約1キロ・メートルに位置し、10日時点で南北約400メートル、東西約200メートル。読売機に搭乗した記者が観察した25分の間、爆発は少なくとも7回あった。すり鉢型の火口からは、火山灰や噴石が混じった黒い噴煙が高さ約200メートルまで立ち上っていた。白い水蒸気も立ちこめ、周辺の海水は濁った緑色に変色。噴石が海面を漂う様子もみられた。

 東京大の前野深・准教授(火山地質学)によると、この日の爆発は、高温のマグマと海水が反応した「マグマ水蒸気爆発」という噴火とみられる。マグマが地下で断続的に上昇している証拠という。

噴煙が勢いよく立ち上る新島(16日、東京都小笠原村硫黄島沖で、読売機から)=加藤学撮影噴煙が勢いよく立ち上る新島(16日、東京都小笠原村硫黄島沖で、読売機から)=加藤学撮影

 新島の噴火は10月21日から活発化。その後、噴火活動が弱まったため、気象庁は波の浸食によって新島が消える可能性もあると説明していた。前野准教授は「島では溶岩が流れ出た痕跡もある。今後も活動が続けば島は長く残るかもしれない」と話す。

(科学部・清水誠勝)