生産までの期間を短く 宮崎県産キャビアの追い風となるか チョウザメの生育を早める技術が誕生

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世界三大珍味のひとつで宮崎の特産品にもなっているチョウザメの卵、「キャビア」。
このキャビアを生産するためには、長いものだと、チョウザメを10年間、生育する必要があるのですが、宮崎大学などの研究でこの期間を短縮する技術が誕生しました。

G7広島サミットでも各国の首脳に提供

古くから高級食材として珍重されている「キャビア」。
「MIYAZAKI CAVIAR1983」は、販売開始から10周年を迎え、G7広島サミットでも各国の首脳らにふるまわれるなど、宮崎の特産品となっています。

(ジャパンキャビア 坂元基雄社長)
「10年前は宮崎の特産品としては無名の存在だったものが、こうしてG7で連続採用されるなど、今は宮崎を代表する特産品になったと思う」

ポイントは「薄い海水」

そのキャビアの生産に関して新たな技術が誕生しました。
(宮崎大学農学部 宮西 弘 助教・魚類生理学)
「こちらの水槽にいるのが全部チョウザメです。このチョウザメに薄めた海水の刺激を加えるだけで成長が非常によくなるという研究をしている」

キャビアに適した大きさの卵をとるためには、淡水魚のチョウザメを長いものだと10年ほど育てる必要があります。
こうした中、宮崎大学の宮西助教は、3年前から宮崎市のジャパンキャビアと共同でチョウザメの成長に関する研究に着手。
チョウザメを、一定期間、薄い海水で生育させると、成長速度を早めることができるという研究結果が得られました。

(宮崎大学農学部 宮西 弘 助教・魚類生理学)
「特にシベリアチョウザメだとどんどん差が開いていくが、分かってる限りでも、20%以上、30%ほどの成長促進っていうのが見えてきてる」

この技術を活用することで、キャビアがとれるまでの生育期間をロシアチョウザメだと10年から8年にシベリアチョウザメだと5年から3年に短縮することが見込まれています。

より大きく成長することにも期待が

さらに、この研究では、チョウザメがより大きくなることも期待されています。
収益化までに莫大な時間とコストを要するチョウザメの養殖。
今回の研究結果には、関係者からも期待の声が上がっています。

(宮崎チョウザメ養殖協議会 吉野英利会長)
「魚が大きくなるということは取れる卵の量も多くなるので、養殖業者としての収入面のアップ。もし、卵がとれるまでの期間が短縮できれば、もっと養殖が楽になる」

(ジャパンキャビア 坂元基雄社長)
「いろんな面で競争力がつくし、安定的な生産も可能になるので、これから海外産のキャビアとの競争に立ち向かっていくにはこういった技術を活用して頑張っていきたい」

国際競争力UPへ 技術の産業化を 

現在、特許出願中のこの技術。
13日、宮西助教らは、この技術の産業化に向け、県の施設でも協力してもらうよう、県に要望しました。
(宮崎大学農学部 宮西 弘 助教・魚類生理学)
「(この研究は)世界にも例がないことなので、まずこの研究を基盤にして、日本のキャビアも国際競争力をあげていけないといけないし、よりキャビアを作ろう、チョウザメを育ててみようという業者が、まず増えることが大事なので、そういった事にこの技術が使えればいいと思う」

キャビアをより早く、より多く生産することが期待されるこの技術。
特産品の生産効率向上へ期待が高まります。

※MRTテレビ「Check!」6月15日(金)放送分から