頻尿・尿漏れのQ&A「磁気、低周波、ボトックスの治療とは?」医師がアドバイス

頻尿や尿漏れの心配があると、旅行や外出先はもちろんのこと、自宅にいても不自由で不快感が続きます。なかなか人に相談しにくい排尿トラブルについて、丁寧に解説してきました。最終回の第6回は、よくある質問から4つのQ&Aをピックアップ。お答えいただくのは、日本泌尿器学会専門医の髙山美郷さんです。

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★50代60代の頻尿・尿漏れは★

50代、60代は男女ともに頻尿や尿漏れあって当たり前!その大きな要因とは?

Q 頻尿を招く食べ物って、ありますか?

A 刺激の強い食品やチーズやチョコレートなどは控えめに

キウイや夏みかんなど酸味のある柑橘類、梅干しや酢の物、唐辛子やワサビなど辛い香辛料など、刺激の強い食品は頻尿に影響します。チーズやチョコレート、赤ワイン、納豆なども膀胱を刺激しやすいと言われています。
ただしこうした食品を摂ったらすべての人が頻尿になる、頻尿が悪化するというわけではありません。反応には個人差があり、絶対に食べてはダメというわけではありません。
「柑橘類をたっぷり食べた後はトイレが近くなった」など、思い当たることがある人は控えめにするとよいでしょう。

Q 磁気や低周波、ボトックスを使う治療法があると聞きました。

A 治療を受けられる施設が限られています

受けられる施設は限られてきますが、排尿トラブルに対して磁気治療、低周波治療、ボトックス治療を行っている施設があります。
ただし誰にでも有効とは言えず、頻尿や尿漏れのタイプや症状によって適応かどうか、医師が判断します。

低周波治療

パッチを下腹部に貼り、骨盤底の神経や筋肉を低周波で刺激することで頻尿や尿漏れを改善します。
保険適応の治療です。

ボトックス注入

ボトックスを膀胱に注入すると、膀胱の筋肉の異常収縮を抑えられるので、過活動膀胱によっておこる頻尿や尿漏れに有効です。
近年、保険適応になりました。

磁気治療

椅子型の機械の座面から磁気が出て、骨盤底や陰部の神経を刺激して膀胱の異常収縮を抑える治療法です。
自費治療になります。

Q 通院している内科で頻尿の薬をもらっていますが、なかなかよくなりません。

A 薬が合わないのかも? 泌尿器専門の医師に診てもらいましょう

頻尿=過活動膀胱と誤解されているケースもあります。
同じ薬を2週間~1カ月続けて服用して、効果がないと感じた場合は泌尿器科専門の医師に相談したほうがいいでしょう。

Q 午前中頻尿、夜間頻尿など、人によって頻尿になる時間帯が違うのはなぜですか?

A 水分の摂り方が関係しているのかもしれません。夜間頻尿には睡眠障害が隠れていることも

午前中頻尿は、朝起きてすぐに水分を摂る人に多い症状です。
起きぬけに白湯や水をたっぷり飲む、毎朝コーヒーや紅茶などカフェイン入りの飲料、柑橘系のジュースなどを飲む習慣があるなど。思い当たることがあったら、そこを変えれば午前中頻尿は改善が期待できます。
夜間頻尿の人は寝る前に水分を摂っていないか、見直してみてください。
また夜間頻尿だという人の話をていねいに聞くと、尿意で目が覚めるというより、睡眠が浅くて目が覚め、そのついでにトイレに行くという人も少なくありません。
泌尿器だけに問題があるのではなくて、眠りが浅かったり、寝つきが悪い場合、睡眠障害に対するアプローチが有用なこともあります。
その他、高血圧、睡眠時無呼吸障害などの持病がある人も夜に尿量が増えることがあります。
夜間頻尿=泌尿器トラブルと決めつけず、原因になる疾患がないかどうかもチェックが必要です。

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監修者

日本泌尿器科学会認定専門医

髙山美郷

日本泌尿器科学会認定専門医・医学博士・Certificate of da Vinci® as a console surgen
厚生労働省指定 オンライン診療研修修了 医師緩和ケア研修修了
2014年岩手医科大学卒業。亀田総合病院、盛岡赤十字病院、倉敷成人病センタ-、大手美容クリニックなどを経て、2023年5月、女性医療クリニックLUNAで泌尿器科外来を開始。女性泌尿器科・腟医療・美容、トータルで女性をサポートしている。