東九州新幹線の2ルートの試算比較「ほぼ同等」 日豊線・久大線

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東九州新幹線のルートイメージ図=大分県提供

東九州新幹線の整備実現をめざす大分県は21日、大分―博多の区間で、小倉経由の日豊線沿いと新鳥栖経由の久大線沿いの2ルートの所要時間や費用対効果などを比較した調査結果を発表した。佐藤樹一郎知事は同日の記者会見で費用対効果は「ほぼ同等」と述べた。県は今後の議論を活性化させていくための基礎資料として活用する方針だ。

 県によると、東九州新幹線は国が全国新幹線鉄道整備法に基づいて1973年に決定した基本計画路線の一つで、県は整備計画路線への格上げをめざしている。今回の比較調査は、今年1月にあった東九州新幹線を推進するシンポジウムで、久大線ルートを推す声があったことを受けたものだ。

 利便性に直結する所要時間(最短)は博多―大分間で日豊線ルートが47分と、久大線ルートが46分で1分差だった。同様に熊本―大分間では日豊線ルートが79分、久大線ルートが56分で差があった。

 課題になるとみられる概算事業費は、日豊線ルートは8195億円、久大線ルートは8339億円。久大線ルートは新たに整備する約106キロのうち、75%をトンネルが占めるため、事業費を押し上げたという。

 2060年に開業した場合の利用者数は日豊線ルートが1日あたり2万3973人、久大線ルートが2万2163人。1を超えると効果が費用を上回ることになる費用対効果(同年開業して50年運行した場合)は、日豊線ルートが1・27。久大線ルートは1・23だった。

 佐藤知事は21日の記者会見で、費用対効果について「ほぼ同等とみていいと思っている。この分析だけでルートを決めるわけではない」と述べた。さらに、「この区間にあと二つぐらい駅ができることを想定して計算している」と明かし、「県全体で議論を深めていき、東九州新幹線実現へ向けた機運を醸成していければと考えている」と述べた。

 県は来年1月以降、今回の結果などについて県民を対象に説明会を開くという。(奥正光)