【SNS特報班】宮崎県内で被害拡大 木を枯死させるガキオビエダシャク

image

 今夏、自宅のイヌマキの生け垣に「キオビエダシャク」が異常発生した。ほかの地域の被害状況を知りたい。【新富町・アルバイト男性(54)】
 質問を寄せた新富町富田南のアルバイト男性(54)は7月ごろ、自宅のイヌマキの生け垣にガの一種「キオビエダシャク」が大量発生していることに気が付いた。
 「これまであまり見たことがない虫」による食害のスピードはすさまじく、約30本のイヌマキは1カ月ほどで全滅。その後、わずかに新芽が芽吹いた半数を残して伐採したという。
 同じ時期に、自宅前の県道沿いに植えてあるラカンマキにも幼虫が大量発生。男性は爆発的な発生や食害の状況に「地域差があるのでは」と感じていた。 
■まれに見る大量発生
 県内の状況について、キオビエダシャクの生態に詳しい都城市・南九州大環境園芸学部の新谷喜紀教授(昆虫生態学)は「昨年に続き、まれに見る大量発生の年」と指摘する。
 新谷教授や県によると、これまで食害の多くは都城、日南、串間市、宮崎市南部で確認。だが、県自然環境課は「近年は体感的に西都児湯、県西部に発生地が広がっている」と説明する。
 同課の情報を元に市町村に取材すると、新富町のほか西都市や宮崎市佐土原町の住民から相談件数が増加傾向にあった。また小林市では、昨年から「キオビエダシャクが飛んでいる」といった報告が増えていた。
 キオビエダシャクは年に4、5回発生する。新谷教授はこれから11月にかけて年内最後の発生のピークを迎え、並行して食害も増えると見込む。本来は寒さに弱いが、地球温暖化などの影響からサナギの状態で土中で越冬し、春先に羽化して繁殖する個体も確認されている。新谷教授は今後「県内でさらに分布域が広範囲に拡大する可能性もある」と示唆する。 
■成虫捕殺「焼け石に水」
 駆除には薬剤散布が最も効果的で、幼虫がふ化し、食害が増え始める10月中の実施が最適だ。ただ新谷教授は「薬剤はサナギに効果がなく、成虫を捕殺しても別の所から飛んでくるため焼け石に水」と強調する。
 年数回の発生時期ごとに、自宅周辺、地域全体で繰り返し薬剤散布することが大切で「来春の発生を抑えるためにも、幼虫のタイミングに合わせて対策してほしい」と話している。