実家の仏壇はどう処分する?粗大ごみに出しても大丈夫?魂抜きの手順や費用も解説

実家の整理や売却を考える場合、扱いに困るものの一つに仏壇があります。
最近は、仏壇のない家がほとんどであるため、処分の仕方を知っている人の方が少数派でしょう。

ご先祖様を祀ったものであるため、家具や家電などのように簡単に捨ててしまうわけにもいきません。そこで今回は、実家の仏壇を処分する方法について解説します。
実際に、処分する際の手順やかかる費用、よくある疑問点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

1. 実家の仏壇の処分は供養(魂抜き)をしてから

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実家の仏壇を処分する際、処分前に供養(※以下、魂抜きと記載)をする必要があります。
以下では、仏壇を処分する前に行う魂抜きについて詳しく解説します。

魂抜き(閉眼供養)とは?

魂抜きとは、宗派によって閉眼供養とも呼ばれる、魂が宿った仏壇やご本尊、位牌から魂を抜く儀式のことです。
仏壇には、設置される時に行われる「魂入れ」によって魂が宿っています。よって、魂が宿ったままの仏壇は、廃棄処分できないため、処分前に魂抜きを行う必要があります。

魂抜きは菩薩寺に依頼する

菩薩寺とは、一族の先祖代々の墓があるお寺のことで、魂抜きは昔からお世話になっている菩提寺に依頼するのが一般的です。
お寺によっては魂抜きをした後で、お焚き上げまで可能な場合もあり、菩提寺がある場合は、比較的スムーズに供養ができます。
ただ、親戚などに聞いても自分の一族の菩薩寺が分からない場合も考えられます。その場合は、インターネットで実家の近くや魂抜きを行いたい地域にあるお寺を検索してみるのがおすすめです。

最近は、ホームページを持つお寺が増えており、お寺ごとの場所や宗派などの情報を簡単に知ることができます。お寺によっては、宗派が違っても対応してくれるので、まずは、近くのお寺から検索してみてください。

位牌も処分するなら一緒に魂抜きが必要

仏壇と合わせて位牌も処分する場合には、位牌も一緒に魂抜きをする必要があります。先述したように、位牌にも魂が宿っているため、そのまま処分することはできません。

遺影の魂抜きは必ずしも必要ない

仏壇や位牌と一緒に遺影も魂抜きをする場合がありますが、遺影の魂抜きは、一般的に必ずしも必要ないと言われています。
葬儀の際に使われる遺影ですが、仏壇や位牌と一緒に魂入れをしている場合には、魂が宿っているため、処分前に魂抜きをする必要があります。しかし、遺影に関しては、魂入れをしないケースもあるため、菩提寺に確認して魂入れをしていない場合には、魂抜きは必要ありません。

気持ち的に「魂抜きなしで処分することに抵抗がある」という場合は、魂抜きをしても問題はありません。

浄土真宗の場合は魂抜きは不要

仏教の宗派の一つに浄土真宗がありますが、浄土真宗には「魂」という概念がないため、実家の宗派が浄土真宗の場合は、魂抜きをする必要はありません。
ただ、同様の儀式を全く行わない訳ではなく、魂入れ・魂抜きの代わりに「入仏法要」、「遷仏法要」を行います。

2. 実家の仏壇を処分する方法と手順

魂抜きが終わると仏壇や位牌に魂は宿っていないため、正式に処分を進めることができます。
以下では、魂抜きが終わった後の仏壇の処分方法や手順を紹介します。

菩薩寺に引き取ってもらう

魂抜きを依頼した菩提寺には、そのまま仏壇を引き取ってもらうことも可能です。
自分で処分先を探す必要がないため、最も楽に処分をすることができます。先述したように魂抜きをした後でお寺によっては、お焚き上げまですることができ、費用は、お焚き上げの有無や地域、各々のお寺によって異なります。

粗大ごみに出す

意外に感じるかも知れませんが、魂抜きをした後の仏壇は、粗大ごみに出すことも可能です。
自治体によって料金に違いがあるので、インターネットや電話で事前申し込みをする際に確認してみましょう。粗大ごみとして処分することは、他の処分方法よりも費用面で安く済むメリットがあります。

ただ、仏壇をごみとして処分することに精神的な抵抗感がある人や大きな仏壇を指定の場所まで運ぶのが負担である人は、別の方法をおすすめします。

仏壇・仏具店に引き取ってもらう

仏壇・仏具店に引き取ってもらうという選択肢もあります。
仏壇を購入したお店が分かる場合は、そちらに依頼するのがスムーズです。
依頼する店舗が分からない場合は、最寄りの仏壇・仏具店に問い合わせて相談してみましょう。

仏壇の取り扱いに慣れたスタッフが対応してくれるため、安心感があり、魂抜きの前に相談すれば、お寺を紹介してもらえる場合もあります。また、仏壇の買い替えを検討する場合、処分費用が安くなるケースもあります。

不用品回収業者に引き取ってもらう

魂抜きをした後の仏壇であれば、不用品回収業者に引き取ってもらうこともできます。
魂抜きの儀式まで依頼できることは基本的にないため、引き取ってもらう前に魂抜きを済ませておくのが条件です。

実家の整理や処分を検討する場合、他にも不用品は出てくる可能性が高いため、他の不用品と合わせて引き取ってもらえるメリットがあります。また、不用品回収と合わせて買取りまでしている業者であれば、少なからずお金に代わる可能性もあります。

ネットのお焚き上げサービスを利用する

実家が遠方の場合やどうしても時間がない場合には、インターネット上から利用できるお焚き上げサービスがおすすめです。お焚き上げサービスを利用すると供養(魂抜き)から仏壇の処分まで一貫してお任せすることができます。

ネット上からできるお焚き上げサービスを利用する手順は、基本的に以下のような流れです。

  • 電話やメール、郵送などでサービスを利用するための依頼をする
  • 見積もり後、金額に問題なければ指定口座にサービス料を振り込む
  • 仏壇を郵送する
  • 必要な供養やお祓いをした後、専用施設でお焚き上げを行う
  • お焚き上げが終わると完了の連絡をもらえる
  • 代金を支払うタイミングは業者によって違いがあるため、利用時に確認しましょう。また、仏壇のサイズによっては、引き取りが不可となる場合もあるため注意が必要です。

    3. 実家の仏壇処分にかかる費用

    電卓とノート
    ここでは、肝心な仏壇の処分にかかる費用について解説します。
    まず、魂抜きにかかるのは、お寺の住職に渡すお布施です。お布施に明確な決まりはありませんが、一般的な相場は、1~3万円ほどで、4の数字が好まれないため、4万円は原則避けましょう。

    お布施の金額に迷った場合は、お寺に直接問い合わせて相談してみるのがおすすめです。地域によってお布施の金額に違いがあるため、迷った際には、事前に聞いてみる方が確実と言えます。
    また、自宅まで来てもらう場合には、お布施とは別でお車代を渡します。お車代は、5,000円ほどが一般的ですが、依頼主が送迎者を手配した場合には不要です。

    次に、魂抜きの後に処分する費用は、処分方法によって異なります。
    前章の各処分方法にかかる費用の目安を1つの表にまとめるので、ぜひ参考にしてください。

    ≪各処分方法ごとの費用目安≫

    処分方法
    費用目安

    菩提寺に依頼する
    お布施1~3万円程度、お車代5,000円程度 ※お焚き上げをする場合は、別途5,000円程度~

    粗大ごみに出す
    1,000円程度~(※地域によって異なる)

    仏壇・仏具店に依頼する
    2~8万円程度(※魂抜き、お焚き上げ代込み)

    不用品回収業者に依頼する
    5,000~1万円程度(※魂抜き後)

    お焚き上げサービスを利用する
    1万5,000円程度~

    4. 実家の仏壇処分でよくある疑問

    最後に、実家の仏壇処分でよくある疑問について解説します。

    実家の神棚の処分方法は?

    神棚の処分方法は仏壇と似ていますが、神棚は、お寺ではなく神社で処分するのが一般的です。仏壇同様、魂入れを行っている場合には、魂抜きやお焚き上げをした上で処分します。

    魂入れをしていない、もしくは魂抜きをした後の神棚であれば、これも仏壇の時と同様、ゴミとして処分しても問題ありません。ごみとして処分するのに抵抗がある場合は、神社や専門業者に処分の依頼をしましょう。

    相続放棄をしたら仏壇は処分しなくてもいい?

    結論からいうと相続放棄をしても仏壇の処分から免れることはできません。
    相続放棄をすると相続財産を相続することはなく、不動産である実家も相続財産に該当します。
    この理論から言うと、「実家を相続しない場合、実家にある仏壇は処分しなくても問題ないのでは?」と思うかも知れません。しかし、民法では、「祭祀財産」という祖先を祀るために必要な財産は通常の相続財産とは切り離して扱われます。

    仏壇やお墓は、この祭祀財産に該当し、祭祀財産は相続放棄の影響を受けないルールになっています。よって、相続放棄しても仏壇の処分から免れることもできません。

    仏壇を処分せずに自分の家に移動させるにはどうする?

    仏壇は家具と違って、基本的に移動させない方がよいとされていますが、どうしてもという場合は、移動させることも可能です。
    移動させる場合にも処分時と同様、基本的に魂抜きをしてから移動した後、魂入れを行います。
    仏壇の引越しには、以下3つの手段があります。

    仏壇・仏具店に依頼する

    仏壇・仏具店の多くは、仏壇の移動サービスに対応しています。
    取扱いに慣れたスタッフのもと安心して引っ越しできるメリットはありますが、費用はその分、高額になります。移動先までの距離や仏壇の大きさなどにもよりますが、1~10万円程度が相場です。

    引越し業者に依頼する

    大手の引越し業者であれば仏壇の移動にも対応している場合が多いです。実家にある家具や家電なども一緒に運べるため、運ぶ荷物が仏壇以外にもたくさんある場合には、特に有効な手段と言えます。
    業者によっては、魂抜き後の仏壇でないと取り扱えない場合もあるため、事前にしっかり確認した上で依頼することが大切です。費用は1~2万円程度かかります。

    自分で運ぶ

    仏壇が小さい場合や費用を安く済ませたい場合には、自分で移動する選択肢もあります。
    自分で運ぶ際には、仏壇が倒れて破損しないよう、車にしっかり固定した上で運ぶことが大切です。中の仏具の梱包も忘れてはいけません。

    仏壇を自分で運ぶのは、費用面が安く済む一方で大きな労力とリスクを伴います。物理的に自分で運ぶのもできなくはありませんが、可能な限り専門業者や引越し業者に依頼することをおすすめします。

    まとめ

    仏壇と花
    今回は、実家の仏壇を処分する方法をテーマに、処分の手順やかかる費用、よくある疑問点についても解説しました。昔に比べて仏壇のある家は減りましたが、戸建住宅をはじめ、古い家には、仏壇があるケースもまだまだ存在します。
    次世代の負担とならないように生前に処分をする人もいますが、その前に相続が発生してしまうと相続人が処分しなければなりません。

    仏壇の処分には時間もかかるので、今回の内容を参考に早めの情報収集を意識してスムーズかつ手間をかけない仏壇処分の方法を検討してください。