焼酎に「香り」で新提案 若い世代ターゲットに 霧島酒造

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ラベルのデザインも特徴的な「KIRISHIMA NO・8」(宮崎県都城市で)

新種サツマイモを自社開発

 焼酎メーカー最大手の霧島酒造(宮崎県都城市)は、香りに特徴があるサツマイモの自社開発に乗り出した。2023年2月には単独で開発した品種を使い、マスカットのような香りの焼酎の販売を始めた。若い世代向けに、洋食と合わせる新たな飲酒シーンを提案する。
 同社はこれまで、農研機構九州沖縄農業研究センターと共同開発で「スズコガネ」などの品種を生み出してきた。これまでにない香りの商品を作ろうと、16年から自社での育種に着手。20品種37通りの掛け合わせから、わずか1年で有望品種「霧島8(エイト)」の開発に成功した。
 同品種は、ブラジル原産の「シモン1号」と「タマアカネ」の掛け合わせで誕生。香気成分・モノテルペンアルコールの含有量が主力品種「コガネセンガン」の約14倍と豊富だ。
 酵母と組み合わせるとマスカットのような新鮮な果実感のある味わいに仕上がった。
 「KIRISHIMA No・8」(490ミリリットル入り・1155円)と名付けて販売。シャンパングラスに冷やした焼酎を入れ、炭酸水で割る飲み方を推奨する。首都圏限定で販売し、焼酎になじみの薄い30~40代の需要獲得を狙う。
 同社は21年にも、フルーティーな香りが特徴の「SUZUKIRISHIMA(すずきりしま)」を発売するなど、従来にない香りに特化した商品作りを進めている。
 自社での品種開発で「商品化のスピードが上がり、新たな飲み方の提案もスムーズにできた」と手応えをつかむ。
 今年開業する種苗生産施設で研究を継続し、多様な風味が出る品種や、農家の作業負担の少ない品種などの開発を検討する。