2023年もいよいよ新年度。すでに学卒者が入社している会社もありますが、フレッシャーズを目にしては、「自分もこんな時があったなあ」と思わず目を細めてしまうことも。そんな新卒社員ですが、いまから老後を見据えていおいたほうが身のためです。みていきましょう。
初任給30万円!社会人、上場の滑り出しの新入社員を尻目に「おにぎり1個」の我慢
賃上げブームのなかで、今年度の新卒初任給を早速引き上げるとした企業が続々。ユニクロ等を展開するファーストリテイリングが初任給25万5,000円→30万円というニュースは大々的に報じられました。ここ最近でもテレビ東京が23年度から社員の初任給を10%引き上げ、住信SBIネット銀行が2023年4月の新卒入社を対象に初任給を30万円になどと報じられ、賃上げの恩恵を早々に受けることになる新卒社員は思わずハイタッチといったところ。
ほかの企業も賃上げ交渉がまとまり、次年度の新卒社員のベースアップを表明する企業もあり、就職活動中の学生は、初任給の動向にも注目していることでしょう。
しかし新卒だったころは……遠い目をするベテラン社員の給与アップが実現できるかは不透明な部分もあり、懐事情は厳しいまま、という人も。SBI新生銀行による「2022年会社員のお小遣い調査」によると、男性会社員の昼食代は623円、女性会社員は656円。男性会社員の毎月の平均お小遣い額は3万8,642円、女性会社員3万3,278円なのだとか。
総務省統計局『小売物価統計調査』によると、お昼の定番「牛丼」の全国平均価格(2023年2月)は496円。2年前の秋ごろに全国平均444円から480円台にグッと値上がりし、昨年秋ごろにさらに10円ほど値上がり。それでもまだ安く、サラリーマンの強い味方ではありますが、「プラスαでサラダも……」とはいえなくなってきています。
そんなため息まじりのサラリーマンに冷ややかな目線を送る人たちも。
――牛丼!? こちらのお昼はおにぎり1個
そうつぶやくのは40代後半、非正規社員として働く男性。この男性に限らず、「コンビニおにぎり1個」だけで昼食完了、という人は多いようです。
ちなみに前出の物価調査で継続調査しているのがスーパーで売られている「鮭おにぎり」。こちらは2023年2月時点で全国平均124円。こちらも物価高の影響で1年で6%ほど値上げ。サラリーマンの平均のランチ代の5分の1という手軽さ。もちろん好き好んで「おにぎり1個」で済ませているわけではないことは、いうまでもありません。
非正規社員の給与「21万円」だが…
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、会社員の月収(所定内給与額)の中央値は30.12万円。正社員、非正規社員でみてみると、正社員は31.22万円に対し、非正規社員は21.08万円と10万円ほどの差があります。
また前出の40代後半の男性で考えると、正社員であれば36.36万円に対し、非正規は21.95万円。給与差は14万円ほどに。正社員と非正規社員の給与差は年齢が上がるほど拡大し、50代後半では月に17万円ほどになります。
【正社員と非正規社員の月収(中央値)の推移】
20~24歳:21.69 万円/19.36 万円
25~29歳:25.09 万円/20.88 万円
30~34歳:28.26 万円/21.35 万円
35~39歳:31.32 万円/21.53 万円
40~44歳:33.90 万円/21.87 万円
45~49歳:36.36 万円/21.95 万円
50~54歳:38.32 万円/21.87 万円
55~59歳:39.15 万円/21.82 万円
60~64歳:29.71 万円/24.25 万円
出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より
※数値は左より男性正社員の月収(所定内給与額)中央値/男性非正規社員の月収中央値
同窓生で片や正社員、片や非正規社員として、第1歩を踏み出した人たちもいたでしょう。正社員であれば年齢と共に順調に昇給していくものの、非正規社員の場合はほぼ昇給ゼロ。50代で給与がピークに達し、喜びいっぱいの正社員を尻目に、非正規社員は「お昼はおにぎり1個で我慢」がいつまでも続くのです。
このような現実を知り、新卒社員は「よかった、正社員になれて」とホッと胸をなでおろしているかもしれません。しかし、日本は雇用環境の過渡期。今回の賃上げの動きのなかで、企業はどのように人件費を工面するか試行錯誤といったところ。結果「誰もが仲良く給与アップ」という時代から「選ばれた人だけが給与アップ」の時代に変わろうとしています。もしかしたら、柔軟な働き方ができる非正規社員のほうが重宝され「正社員を逆転」となる可能性も。
いままでにないほどの高額の初任給に喜んでいる場合ではないかもしれません。