大阪のマンション、いま何が起きてる? 都心で値下げが急増中ってホント?!

大阪のマンション、いま何が起きてる? 都心で値下げが急増中ってホント?!

大阪のマンション市場、いま何が起きている?

「大阪都心のマンション、高すぎる!」なんて声を聞いたことはありませんか?実は、最近のデータを見ると、大阪のマンション市場でちょっと面白い変化が起きているんです。特に都心のマンションでは、値下げが増えたり、なかなか売れなくなったりする傾向が見られます。これは一体どういうことなのでしょうか?

大阪市内の市場は「二つの顔」を持っている

大阪のマンション市場を語る上で大切なのが、「大阪市全体」でひとくくりにしないこと。今の大阪市は、東京都心と同じようにエリアによって価格帯や買う人の層、需要の構造が大きく異なっています。

そこで今回の分析では、オフィス街や商業施設が多く、再開発やインバウンド、投資マネーの影響を強く受ける「都心6区(北区・中央区・西区・天王寺区・浪速区・福島区)」と、比較的実需(実際に住むための購入)が中心の「その他18区」に分けて見ていきましょう。

都心6区で目立つ「売れる価格」と「売りたい価格」のギャップ

まず、大阪市都心6区の中古マンション市場を見てみると、2026年に入ってから顕著な動きが見られます。

大阪市6区:中古マンションの販売日数と値下げ回数

販売にかかる日数と値下げの回数が、どちらもぐーんと増えているのがわかりますよね。これは「値下げしても、なかなか売れない」という状況が起きている証拠。つまり、売りたい人が考えている価格と、実際に買いたい人が「これなら買ってもいいかな」と思える価格との間に、ズレが生じているということです。

東京の都心部では2024年後半からこの傾向がはっきりしてきましたが、大阪市都心6区でも同じような現象が確認され始めています。これは、消費者が「欲しいけど高くて手が出ない」「価格の割にちょっと割高感があるな」と感じるレベルまで価格が上がってきていることを示唆しています。特に、元々価格が高い物件や、投資目的で買われたマンションで、この傾向がより強く出ています。

高価格帯マンションの在庫が増えている!

この状況をさらに裏付けるのが、高価格帯マンションの在庫の動きです。以下の地図を見てください。売出価格が平均6,000万円以上のマンションについて、在庫がどうなっているかを色分けして示しています。

大阪市都心6区の在庫変動マップ

  • 赤プロット: 在庫が減っていて、すぐに売れる(流動性が高い)

  • 黄プロット: 在庫の増減がなく、普通に売れる(流動性は標準的)

  • 青プロット: 在庫が増えていて、なかなか売れない(流動性が低下)

都心6区には青色のプロットがたくさんありますね。これは、売りたい人が増えているのに、それを買う人が追いついていないことを意味します。高額なマンションは、買える人が限られているため、価格が上がりすぎると急に売れ行きが悪くなる傾向があるんです。価格が上がっているうちは「もっと上がるかも!」という期待で市場が盛り上がりますが、その期待が薄れると、買い手が慎重になり、売り手だけが増える構図に変わります。大阪市都心6区では、まさにその転換期が来ているのかもしれません。

東京と似ている?「投資マネー主導型市場」

都心6区で在庫が増えている背景には、東京都心ととてもよく似た市場構造があります。それは、実際に住むための需要(実需)と、投資目的の需要が混ざっている点です。これらのエリアでは、自宅として買う人だけでなく、国内外の投資家、法人購入、セカンドハウス需要など、様々な人が市場に参加しています。

特に近年は、大阪・関西万博への期待や大規模な再開発、インバウンド(訪日外国人観光客)需要の回復などがあり、大阪市都心部へのお金(投資資金)の流入が加速しました。その結果、一部の人気マンションでは、実需層が買える価格を大きく超えるほどの価格上昇が短期間で起きました。価格が上がることは悪いことばかりではありませんが、もしその主な理由が「住みたい」という需要ではなく「儲けたい」という投資需要だった場合、市場環境が変わると、売り手と買い手のバランスが崩れやすくなるという特徴があります。

新築マンションの短期転売が急増中!

このような市場構造の変化は、新築マンションが完成から1年以内に売りに出される割合にもはっきりと表れています。

大阪市:新築マンション短期転売の割合

グラフを見ると、2024年以降、その割合が急激に増えているのがわかります。本来、新築マンションは「長く住むぞ!」と思って買う人がほとんどです。でも、短期間で手放す人が増えているということは、住むためではなく「値上がりで儲けたい」と思って買った人が一定数いたことを示しています。市場が上昇している間は、こうした取引がさらに価格を押し上げる要因になります。

しかし、価格の上昇が落ち着いてくると、利益を確定しようとする売りが一斉に出てくるため、在庫が増えたり、売れ行きが悪くなったりしやすくなります。現在の大阪市都心6区は、まさにその「移行期」に差し掛かっている可能性があります。

成約価格は高いままだけど、上昇の勢いは弱まっている

実際に取引された価格(成約坪単価)の推移を見ても、価格はまだまだ高い水準を保っています。

大阪市6区: 中古マンション成約坪単価推移

でも注目すべきは、価格そのものよりも「価格の方向性」です。これまで右肩上がりに続いていた上昇トレンドが、徐々に弱まり、最近では横ばいで推移する動きが目立っています。

これは価格が下がっているわけではありません。むしろ、市場の参加者たちが「これ以上は価格が上がりにくいかも」と感じ始め、売り手と買い手が「どこで手を打つか」というバランス点を探っている段階だと考えられます。市場が成熟していく過程では自然な現象であり、必ずしも悪いサインではありません。

一方で、その他18区は安定した市場を維持

対照的なのが、大阪市のその他18区です。

大阪市18区: 中古マンションの販売日数と値下げ回数

販売日数と値下げ回数の推移を見ると、多少の変動はあるものの、どちらもだいたい横ばいで推移しています。これは、売り手と買い手のバランスが比較的安定していて、市場が過度に熱くなったり、冷え込んだりしていないことを示しています。

こちらでは、実際に住むための購入(実需)が中心で、投資マネーの影響を受けにくいため、市場の変動も比較的小さいんです。在庫の推移を見ても、黄色の物件が多く、スムーズに取引されていることがわかります。

大阪市18区: 中古マンション成約坪単価推移

価格も、その地域の所得や住宅ローンを利用する人の購買力を基準に決まるため、上昇傾向にはありますが、急激な価格変動が起きにくい市場構造になっています。

大阪市マンション市場は「二極化」の時代へ

今の大阪市マンション市場をひと言で表すなら、「二極化」が一番ぴったりくるでしょう。都心6区では、投資需要の影響を受けて、価格の調整局面が始まりつつある一方で、その他18区では、実需を中心とした安定した市場が保たれています。

これは、市場全体が悪くなっているという意味ではありません。むしろ、行き過ぎた価格上昇が修正され、本来の需要に基づいた価格形成に戻っていく過程とも言えます。東京都心でも似たような動きが見られましたが、価格調整によって再び実需層が市場に戻り、スムーズに取引されるようになるケースも少なくありません。

大阪市でも今後は、「大阪市全体がどうなのか」という視点だけでなく、「どこのエリアで、どのくらいの価格帯の、どのマンションなのか」をしっかり見極めることが、これまで以上に重要になっていくでしょう。

調査概要

  • 調査期間: 2024年1月~2026年6月(24日現在)

  • 調査機関: マンションリサーチ株式会社

  • 調査対象: 大阪市内の中古マンション

  • サンプル事例数: 50,435事例

  • 調査方法: 公開されている中古マンションの売出情報を収集し、統計処理を施して集計

筆者プロフィール

福嶋 真司氏のプロフィール写真

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
福嶋総研 代表研究員

早稲田大学理工学部を卒業後、大手不動産会社でマーケティング調査を担当。その後、建築設計事務所で法務・労務に携わる。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査や評価指標の研究・開発を行う傍ら、顧客企業の不動産事業における意思決定をサポート。大手メディアや学術機関にもデータおよび分析結果を提供している。

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