EV時代を支える!LFP正極前駆体市場が2035年までに409億ドル規模へ成長予測
LFP(リン酸鉄リチウム)正極前駆体市場が、電気自動車(EV)の普及を背景に、今後大きく成長していくことが期待されています。SDKI Analyticsの調査によると、2025年には約155億米ドルだった市場規模が、2035年には約409億米ドルに達し、予測期間中に年平均成長率(CAGR)約10.2%で拡大する見込みです。
市場を牽引するEVの波
この市場拡大の大きな原動力となっているのは、世界中で加速する電動モビリティへの移行です。LFP系材料は、そのコスト効率の良さと安全性から、特にEV分野で高い人気を集めています。国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2024年の世界の電気自動車販売台数は1,700万台に達し、前年比25%増という驚異的な伸びを記録。これにより、年間バッテリー需要は1TWh(テラワット時)を突破しました。

成長の裏にある課題
しかし、順調な成長が予測される一方で、課題も存在します。原材料であるリチウム、鉄、リン酸塩の価格変動や供給の不安定さが、生産コストや事業拡大の足かせとなるケースが見受けられます。これらの原材料の入手可能性や価格は、地政学的要因や規制、物流の混乱など、さまざまな外部要因に左右されるため、メーカーにとってはコスト予測が難しい状況です。
最新の動向
LFP正極前駆体市場では、最近、以下のような動きがありました。
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2026年3月、Integrals Powerは、ミルトンキーンズの施設でリン酸鉄リチウム(LFP)正極材の主要前駆体であるリン酸鉄の新たな製造プロセスを開発したと発表しました。
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2024年9月、日産自動車株式会社は、車載用リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーの開発および量産に関し、経済産業省より認定を取得しました。
市場の主要な構成要素と地域別の展望
市場はタイプ別にリン酸鉄リチウム(LiFePO₄)やその他のリン酸鉄に分けられますが、中でもLiFePO₄が、その優れたコスト効率と安全性から、今後も市場を牽引していくと予想されています。ある政府系研究所の報告書では、LFP搭載バッテリー式電気自動車(BEV)用パックのコストが2023年時点で120~130米ドル/kWhであり、2035年までにはさらに40%のコスト削減が実現すると推定されており、これが普及を強く後押しするでしょう。
地域別に見ると、アジア太平洋地域が予測期間において45%という最大の市場シェアを獲得し、同時に10.6%という最も高い年平均成長率(CAGR)を示すと予測されています。これは、中国がバッテリーサプライチェーンにおいて圧倒的な優位性を持っていることと、この地域でのEV普及が急速に進んでいることが主な要因です。IEAの市場見通しによれば、2024年時点で、正極活物質の世界全体の生産量のうち、中国一国が85%近くを占めています。
日本もLFP正極前駆体市場で存在感を高める大きな潜在能力を秘めています。政府の支援策を通じてサプライチェーンの強化を図り、EVおよびバッテリー生産の自給自足体制確立を推進している状況です。例えば、2024年9月には、日本政府がLFPバッテリーを含むリチウムイオンバッテリーの生産に対し、3,260億円の支援を行うことを決定しました。しかし、日本は依然として輸入原材料への依存度が高く、これが大規模な事業拡大の制約となることも少なくありません。
市場をリードする主要プレーヤー
世界のLFP正極前駆体市場における主要なプレーヤーは以下の通りです。
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BASF SE
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Umicore
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LG Chem
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POSCO Future M
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Johnson Matthey
また、日本市場のトッププレーヤーとしては、以下の企業が挙げられます。
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住友金属鉱山株式会社
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三井金属鉱業株式会社
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日亜化学工業株式会社
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田中化学研究所
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日本化学工業株式会社
より詳しい情報については、SDKI Analyticsの調査レポートをご覧ください。
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