フェス戦国時代を勝ち抜く秘訣!TOKYO MXプロデューサー哘誠氏が語るエンタメの未来と「差別化」戦略

フェス戦国時代を勝ち抜く秘訣!TOKYO MXプロデューサー哘誠氏が語るエンタメの未来と「差別化」戦略

年間100案件をこなす「食わず嫌いをしない」仕事術

哘氏は現在、年間約100案件ものエンタメ事業を手掛けているとのこと。その多忙さからダイジロー氏が「寝てるんですか?」と尋ねると、「寝てないですね(笑)」と答えるほど。エンタメ業界では決まったリズムはなく、朝まで働くこともあれば、朝から現場や打ち合わせが入ることもあるといいます。「好きじゃないとやれない」という言葉が、その熱量を物語っています。

大学職員や印刷会社勤務を経て、TOKYO MXに入社した哘氏。現場経験は多くないものの、ディレクション業務からすぐにプロデュース業務へと移行しました。番組制作もイベント開催も、一人ではできないため、外部の協力が不可欠であり、「人間関係の世界、人脈」が何よりも重要だと語ります。出演者のキャスティングはもちろん、スタッフや会場選びも「キャスティング」として捉え、チーム一丸となって作り上げる姿勢が印象的です。

哘氏がエンタメ業界に興味を持ったのは「物を作るのが好き」というシンプルな理由から。特定のアーティストやタレントが好きだったわけではないそうです。ジャンルを問わず「食わず嫌いをしない」ことを信条とし、興味がなかった演歌や相撲の巡業の仕事も手掛ける中で、新しい発見やビジネスチャンスを見出してきたといいます。この柔軟な姿勢が、無限ともいえる仕事の広がりを生み出しているようです。

対談の様子

東京ドーム主催を実現!大規模イベントの舞台裏

イベントを手掛ける上で、常に目標としてきたのが「大きな箱でやること」だと哘氏は語ります。そして先日、TOKYO MXとして初めて東京ドームでの主催イベントを実現しました。これは哘氏自身にとっても、局にとっても画期的な出来事だったそうです。

イベント終了後、ステージの真ん中でスタッフと記念写真を撮った際、「チームが一つになった」と感じたといいます。イベントに携わる者として、いつかはドームでやりたいという夢が一つ叶った瞬間でした。しかし、ドーム規模のイベントは準備に2年ほどを要し、その間にアーティストに何かあったり、人気が落ちたりするリスクも伴うため、「これから人気が出るだろうな」というコンテンツを選ばなければならないという難しさもあるそうです。

コロナ禍がもたらした「テレビ×イベント」の新たなエコシステム

コロナ禍は、エンタメ業界に大きな影響を与えました。人が集まるイベントが中止になり、ビジネスとして成立しない状況に直面する中で、哘氏が着目したのが「イベントと連動した番組」でした。イベントができない時期に、後にイベントができるよう番組を先行して制作する戦略です。車の番組やラップ番組、音楽番組など、イベントに繋がるストーリー性を各ジャンルで作っていった結果、現在は全てが繋がり、視聴も好調だといいます。

コロナ禍を経て、イベントに足を運ぶ人が増え、「コト消費」が大きく伸びていると哘氏は分析します。チケット価格も上昇し、会場で販売されるグッズの客単価も上がっていることから、人々がお金を使う対象が変化したと見ています。

テレビ局にとっては、番組のリアクションが見えにくいという課題がある一方、イベントでは観客の生の声や表情を直接感じることができます。その場で泣いたり笑ったりする姿を見て、「やってよかった」と心から思える瞬間が、イベントプロデューサーにとっての醍醐味だといいます。

フェス戦国時代を勝ち抜く「差別化」の戦略

オンラインとオフラインの両方で精力的に活動する哘氏にとって、オンラインとオフラインを繋ぐ上で意識しているのは「番組あってのイベント」という考え方です。東京ドームのイベントも、事前に特番を放送し、視聴者から企画を募集するなど、番組を「助走」として活用することで、イベント単体では実現できない視聴者との接点を作り出しました。

地上波テレビの優位点として、配信番組が「目的型」であるのに対し、地上波は偶然番組を見た人がファンになるという「ロジカルには届けられないところに届けられる」強みがあるといいます。「テレビ離れ」という声も聞かれる中で、まだまだその価値は大きいと強調しました。

フェスが生き残るための強力な「武器」について問われた哘氏は、「他にはない差別化」を挙げました。例えば、SAMURAI SONICが「お祭り」をイメージしていることから、会場の一部を無料にして、地元の人も呼び込めるようにするなど、独自のコンセプトを明確にすることが重要だとアドバイスしました。

対談中の哘誠氏とダイジロー氏

イベントの企画は、大規模なものでは1〜2年前から設計する必要があるといいます。東京ドームでの成功は、単なるライブではなく、テレビと組み合わせることで差別化を図った結果であり、その実績が新たな大きなコンテンツからの引き合いに繋がっているそうです。

哘氏が今最もやりたいことは、「箱に縛られないこと」。ITビジネスのように、やりたいタイミングで自由にできることを求めており、アパレル事業もその一つです。そして、今力を入れているのは「IP(知的財産)」の活用。漫画家の絵を借りてアパレルやゲームに展開するなど、キャパシティに縛られずに無限の展開が可能な分野に注目しています。

音楽ビジネスについては、CDが売れなくなった現代において、完全にライブとそれに付随するグッズが中心であり、配信はプロモーションの場であると認識しています。テレビ局の広告費がネットに逆転され、ローカル局では赤字のところも増えている厳しい時代だからこそ、IP活用を今のうちに手掛ける必要性を語りました。

ダイジロー氏は、哘氏の言葉から多くの学びを得た様子で、SAMURAI SONICも柔軟に動けるチームとして、今後の展開に意欲を見せました。

対談を終え笑顔を見せる哘誠氏とダイジロー氏

SAMURAI SONICについて

「SAMURAI SONIC」は“ SAMURAI SPIRIT’s (サムライスピリッツ)”をコンセプトに、2021年のコロナ禍に誕生した「ロックの再定義」を掲げる新感覚フェスです。

イベント公式情報サイト

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