「じきにロシアは革命、内戦、破綻」…プーチンが青ざめるグローバルトップ戦略家167人の「恐るべき調査」

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衰退が免れないロシア

アメリカの安全保障分野を扱う有名シンクタンク「大西洋評議会」(Atlantic Council)は、世界を代表する167人のグローバル戦略家に実施した調査『Global Foresight2023』を1月9日、公開した。

その調査結果で、ウクライナ戦争によって、地球上で最大の核兵器保有国であるロシアに、重大な動揺がもたらされる可能性が指摘されている。ウクライナ戦争によって、世界の安全保障はどう変わるのか。ロシアは、今後どうなっているのかを考えていこう。

ロシアによるウクライナへの侵略戦争は、もう少しで1年を迎えようとしている。ロシアによる攻勢は、侵略から半年で鳴りを潜める結果となり、ウクライナの反転攻勢が続いていた。ロシアは、この戦争を「特別軍事作戦」として、あくまで「通常の戦争」とは違うことを強調しているが、敗走が続き、ロシアにおける兵員動員や産業政策は、すでに「大規模な戦争」と同等のものとなっていることが、米シンクタンク・戦争研究所(ISW)によって指揮されている。

ドイツ、レオパード2主力戦車の横に立つオラフ・ショルツ首相

同研究所によれば、ロシアは、このウクライナ戦争における主導権を取り戻し、一連の軍事作戦を「成功」として終わらせるべく、準備をおこなっているのだという。早期に終わらせることができなければ、ロシアの衰退は免れないだろう。現在、ロシアには世界各国から厳しい経済制裁が課されていて、半導体が輸入できないことから、外資系企業が撤退したり、制裁で金融機関の経営環境が厳しくなったりと、多くのロシア人は所得が減少している。

民間軍事会社「ワグネル」とは

ロシアの戦況打開のためにキーとなることが、2つある。一つは、民間軍事会社「ワグネル」。もう一つは、ウクライナ民間施設、住居への無差別攻撃だ。

ロシアのウクライナ侵攻では東部ドネツク州の北部バフムト一帯の攻防が激しさを増していて、ロシア側は民間軍事会社「ワグネル」の部隊が主力となっている。ウクライナにとってバフムトは重要な戦略拠点ではないとされているものの、敗戦つづきのロシア軍にとって、バフムトでの大善戦は久々の明るいニュースとなっている。ウクライナ民間人や民間インフラへの無差別とも思える攻撃もあわせて、ウクライナ国民の気持ちを萎えさせようということなのだろう。

しかし、ウクライナが(局地的にはあるものの)劣勢とみるや、ヨーロッパ各国がこれまで供給していなかった戦車をウクライナへ供与するようになった。特にイギリスは、英国陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」、大型の自走式砲であるAS90を納入している。

イギリス、チャレンジャー2(Photo by Finnbarr Webster/Getty Images)

他にもポーランドはドイツ製のレオパード戦車14両を送る予定で、1月初め、ドイツと米国はフランスと共にウクライナに装甲戦闘車を送ることで合意した。これらは、ウクライナの戦場での軍事力を大幅に高めると考えられている。さらに、アメリカでは、ウクライナ兵が、パトリオットミサイルの発射訓練をしているところだ。ロシアが企図しているかもしれない大規模攻勢への備えは、進んでいる。

ロシアが破綻国家に…

「強力な武器をどうせ送るのだったら戦争当初から送ってあげなよ…」と内心思ってしまわないでもないが、ロシアの立場に立ってみると、ウクライナに対して戦場で優勢に立てば立つだけ、西側諸国がより強力な武器を送ってこられるというのは、厄介な問題だろう。どんなに頑張ったところで、侵略の意思を捨てない限り、戦争の大規模化と長期化が想定される事態になりつつあるためだ。プーチン大統領は激怒し、ロシア国民の失望は大きいものとなるかもしれない。

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冒頭の調査に戻ろう。

調査によれば、グローバルストロテジスト(国際戦略家)167人の半数近く(46%)が、2033年までにロシアが破綻国家になるか、崩壊するかのどちらかになると予想している。5分の1以上(21%)が、今後10年以内にロシアが破綻国家になる可能性が最も高いと見ており、これは次に多いアフガニスタンの2倍以上の割合だという。また、回答者の40%が2033年までに革命、内戦、政治的崩壊、あるいはその他の理由でロシアが内部分裂すると予想していることである。

ロシアのウクライナ侵攻は、国際安全保障を強化するための制度の限界を明らかにした。グローバルストロテジスト167人は、台湾をめぐる紛争、ロシア国家の脆弱性、ロシアによる核兵器使用、パンデミックや経済危機の増加など、今後10年間に人類の安全保障にとって様々な主要課題が発生すると予測しているが、世界の安全保障の構造はほとんど変わらないと考えているようだ。

例えば、回答者の82%が、今後10年間、NATOは相互の安全保障に基づく北米と欧州の国々の同盟であり続けると考えている。NATO加盟国の国民である回答者の85%が同盟の現在の形態が維持されると考えており、その他の国の回答者でも71%が同じように考えている。

役に立たない国連

この調査から、対ロシアの戦略について、このNATOという集団安全保障体制の枠組みが機能していることが窺い知れる。

プーチン大統領やロシアの有力者が演説で繰り返す「西側=悪魔」論に与するつもりはないが、ロシアはNATOを恐れていて、手出しができないものとなっている。調査の回答者もロシアがNATOやアメリカと直接戦闘を行うリスクは小さいと見ているようだ。

この調査から考えると、やはり日本もロシアや中国を封じ込めることができるような軍事同盟を日米を中心に広げていくことが必要だろう。

ウクライナ戦争では、ロシアや中国が常任理事国として拒否権を持つ国連が何一つ役に立っていない。読売新聞の元旦社説は、「強制力はなくても、国連緊急特別総会では対露非難決議などが圧倒的多数の賛成で採択されていることは、注目に値する。国際世論の高まりが、穀物輸出の封鎖、原子力発電所への攻撃などの最悪事態を部分的ながら回避させ、改善策が講じられてもいる。国際世論は無力ではないのだ」などと主張しているが、このような無能な組織をアテにするほうがおかしいというものだ。

自分の国は自分で守る、という基本原則はありつつも、ロシアや中国が攻めて行きたくなくなるような強固な軍事同盟が必要なのだ。