中国の人口減少の「本当のマズさ」…「超深刻な高齢社会の問題」が「日本の10倍規模」で襲いかかる

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ついに中国の人口が減少に転じた。

世界中の国々がこの「巨像」の動向を注視している。

13億という巨大な人口を抱えるこの国で、今後、どのように人口が減っていくのか。そして、それは中国社会にいったいどのような影響を与えるのか。

2018年の段階で中国の人口問題に光を当てていた『未来の中国年表』より一部を抜粋、編集し、この深刻な問題の本質に迫る。

以下で焦点を当てるのは、「高齢化」だ。

同書の著者であり、中国ウォッチャーとして知られ、著書やテレビ出演も多い近藤大介氏は、中国の人口問題をどう見るか。

未来の中国年表

「還暦以上」が5億人!

2049年10月1日、中国は建国100周年を迎える。

だが、その頃の中国が祝賀ムード一色に染まっているとは限らない。なぜなら、中国の人口学者たちも警鐘を鳴らしていることだが、このまま進めば中国は2050年頃、人類が体験したことのない未曾有の高齢化社会を迎えるからだ。

『世界人口予測2017年版』によれば、2049年の中国の人口は13億7096億人で、2050年は13億6445億人。これは、2011年の中国の人口13億6748万人、及び2012年の13億7519万人と同水準だ。

だが、2010年代の現在と、2050年頃とでは、中国の人口構成はまったく異なる。

『世界人口予測2015年版』によれば、2015年時点での中国の人口構成は、0歳から14歳までが17.2%、15歳から59歳までが67.6%、60歳以上が15.2%、そして80歳以上が1.6%である。

それが2050年になると、激変する。

0歳から14歳までが13.5%、15歳から59歳までが50.0%、60歳以上が36.5%、80歳以上が8.9%なのである。

これを人数で表せば、2050年の中国の60歳以上の人口は、4億9802万人! そして80歳以上の人口は、1億2143万人である。

要するに、「私は還暦を越えました」という人が、約5億人という巨大な数に上り、かつ「傘寿を越えました」という人が、現在の日本の総人口にほぼ匹敵する数となる。

まさに未曾有の高齢化社会の到来である。

10倍の規模で襲いかかる

私が中国で、こうした未来図を初めて想い描いたのは、2012年の年末のことだった。

北京の農業展覧館で、北京国際高齢産業博覧会が開かれたのである。

そこには、老人用の車椅子、補聴器、おむつなど、多数の商品が展示されていた。そして場内のそこかしこに、「中国は近未来に、未曾有の高齢化社会を迎える」と表示してあった。

館内の様子を見ていると、日本が直面している少子高齢化の波が、やがて中国をも襲うのだということが理解できた。

しかも、日本の10倍以上の規模をもってである。

ただし、中国社会の高齢化が、日本社会の高齢化と決定的に異なる点が、二つある。

一つは、高齢化社会を迎えた時の「社会の状態」だ。

日本の場合は、先進国になってから高齢社会を迎えた。

日本の65歳人口が14%を超えたのは1995年だが、それから5年後の2000年には、介護保険法を施行した。また、日本の2000年の一人当たりGDPは、3万8533ドルもあった。

いわば高齢社会を迎えるにあたって、社会的なインフラが整備できていたのである。

ところが、中国の一人当たりのGDPは、2018年にようやく約1万ドルとなる程度だ。65歳以上人口が14%を超える2028年まで、残り10年。

中国で流行語になっている「未富先老」(豊かにならないうちに先に高齢化を迎える)、もしくは「未備先老」(制度が整備されないうちに先に高齢化を迎える)の状況が、近未来に確実に起こってくるのである。

日本とのもう一つの違いは、中国の高齢社会の規模が、日本とは比較にならないほど巨大なことだ。

中国がこれまで6回行った全国人口調査によれば、特に21世紀に入ってから、65歳以上の人口が、人数、比率ともに、着実に増え続けていることが分かる。

そして、2050年には、総人口の23.3%、3億1791万人が65歳以上となる。

23.3%という数字は、日本の2010年の65歳以上人口の割合23.1%と、ほぼ同じである。

2050年の中国は、80歳以上の人口も総人口の8.9%にあたる1億2143万人と、現在の日本の総人口に匹敵する数に上るのである。